本記事では、ハウスメーカーの訴訟件数について解説していますが、各ハウスメーカーで公式のデータがでているわけではありません。
そういうことから、この記事で述べることは、クレーム数からの推定として訴訟件数等を紹介しています。
あくまで、参考程度に留めておいてくださいますようお願いします。
さて、住宅購入は、人生で最も大きな買い物のひとつです。そのため、ハウスメーカー選びは慎重に行いたいところです。
訴訟件数を推定することで、ハウスメーカーのリスクやトラブルの発生率を客観的な数値に基づいて理解することができます。
欠陥住宅で起こされる訴訟件数は戸建て住宅全体で年間で500件程度といわれています。
戸建て住宅のうち大手ハウスメーカーのシェア率(販売戸数)は3割程度となっているので、
大手ハウスメーカーの訴訟件数は、年間500件×0.3= 年間150件程度でしょうか。
150件というのはざっくりし過ぎの数値で、どこまでが大手ハウスメーカーに含まれるのか、また、訴訟といっても軽微なものから重大なものまでピンキリです。
和解や調停で終了するケースも多く、訴訟まで発展するケースは極めて少ないのかもしれませんが、独自の計算で主要なハウスメーカーの訴訟件数を計算してみました。
実際の訴訟件数でないことに注意してください。
一般的に、調停や和解で解決せず訴訟に至ってしまうのは10件に1件程度といわれているので、ここではクレーム件数の1%を基準として訴訟に発展すると仮定します。
まず、各大手ハウスメーカーのクレーム件数やクレーム率等は、「販売戸数と口コミ」を元に下記のようにまとめました。
2022年度住宅産業新聞の集計による
クレーム件数は「みん票」を参照
大手ハウスメーカー | 販売戸数 |
☆1以下の低評価 |
販売戸数に対するクレーム数の割合 | クレーム率の順位 |
---|---|---|---|---|
大和ハウス | 5,762 | 121 | 0.02(2%) | 2位 |
一条工務店 | 15,430 | 250 | 0.016(1.6%) | 4位 |
積水ハウス | 10,061 | 108 | 0.01(1%) | 7位 |
パナソニックホームズ | 3,890 | 51 | 0.013(1.3%) | 6位 |
ミサワホーム | 4,603 | 62 | 0.013(1.3%) | 6位 |
トヨタホーム | 3,458 | 68 | 0.019(1.9%) | 3位 |
旭化成ホームズ | 7,367 | 69 | 0.009(0.9%) | 8位 |
セキスイハイム | 9,700 | 145 | 0.014(1.4%) | 5位 |
住友林業 | 8,680 | 15 | 0.001(0.1%) | 11位 |
三井ホーム | 2,337 | 20 | 0.008(0.8%) | 9位 |
ヤマダホームズ | 2,617 | 13 | 0.004(0.4%) | 10位 |
タマホーム | 8,825 | 209 | 0.023(2.3%) | 1位 |
「販売戸数に対するクレーム数の割合」は上記のとおりとなったので、次はそれをもとに訴訟件数や訴訟率を下記のとおり、まとめました。
クレーム率の1%が訴訟に発展すると仮定していますが、満足度ランキングの評価を含めました。
12社の内、6位のパナソニックホームズの訴訟率1%を基準として、満足度ランキングの順位が上がるごとに訴訟率から0.1%をマイナスする。
そして満足度ランキングの順位が下がるごとに訴訟率から0.1をプラスして計算しています。
※満足度ランキングは「オリコン顧客満足度ランキング」を参照
大手ハウスメーカー | 満足度ランキング(点数) |
訴訟率 |
クレーム率×訴訟率(A) |
訴訟件数(販売戸数×A) |
販売戸数に対する訴訟率の割合 | 訴訟率の順位 |
---|---|---|---|---|---|---|
大和ハウス | 7位(76.0点) | 1.1% | 0.00022 | 1件(1.26) | 0.00017 | 5位 |
一条工務店 | 4位(78.1点) | 0.8% | 0.000128 | 2件(1.97) | 0.00012 | 6位 |
積水ハウス | 1位(78.9点) | 0.5% | 0.00005 | 1件(0.50) | 0.000099 | 7位 |
パナソニックホームズ | 6位(76.8点) | 1.0% | 0.00013 | 1件(0.50) | 0.00025 | 3位 |
ミサワホーム | 8位(75.3点) | 1.2% | 0.000156 | 1件(0.71) | 0.00021 | 4位 |
トヨタホーム | 9位(75.1点) | 1.3% | 0.000247 | 1件(0.85) | 0.00028 | 2位 |
旭化成ホームズ(ヘーベルハウス) | 2位(78.6点) | 0.6% | 0.000054 | 0件(0.39) | 0 | 8位 |
セキスイハイム | 7位(76.0点) | 1.1% | 0.000154 | 0件(1.49) | 0 | 8位 |
住友林業 | 3位(78.4点) | 0.7% | 0.000007 | 0件(0.06) | 0 | 8位 |
三井ホーム | 5位(77.1点) | 0.9% | 0.000072 | 0件(0.16) | 0 | 8位 |
ヤマダホームズ | 11位(68.9点) | 1.5% | 0.00006 | 0件(0.15) | 0 | 8位 |
タマホーム | 10位(69.7点) | 1.4% | 0.000322 | 3件(2.84) | 0.00033 | 1位 |
訴訟に発展するケースは、請負契約不履行や施工不備などによるトラブルが約8割を占めています。
大手ハウスメーカーは施工品質の向上、顧客相談窓口の充実、トラブル防止のための教育・研修の実施など、サポート体制の強化を図っており、実際、訴訟に発展するケースは他の住宅会社に比べて少ないと考えています。
以上、ハウスメーカーの訴訟件数について独自の視点で計算してみました。
ハウスメーカーの訴訟件数は、ハウスメーカーのリスクやトラブルの発生率を客観的な数値に基づいて理解するのに役立ちます。
本記事を参考にして、ハウスメーカー選びの判断材料として活用してください。
本記事では、訴訟件数に着目して解説しましたが、訴訟件数以外にも、ハウスメーカー選びの際に考慮すべき要素はたくさんあります。
具体的には、以下のようなものが挙げられます。
・ハウスメーカーの経営状況
・ハウスメーカーの保証内容
・ハウスメーカーの施工実績
・ハウスメーカーの営業担当者の対応
これらの要素も考慮して、納得のいくハウスメーカーを選んでください。