嫁の実家の土地に家を建てることを含め、新築するために親から土地をもらうことは、土地にかかる費用がとても安く済むので魅力的にうつります。
しかし、土地をもらう際にはいくつかの問題が出てくることがあります。
まず、もらった土地に新しい家を建てる場合、古い家を取り壊して新しい家を建てる場合がありますよね。
これ自体は今まで建っていた場所に新たに家を建てるのであまり問題はありません。
今まで宅地として認められていた土地なので、そこに新築しても問題ないからですね。
また、今まで家が建っていたところは水道管の引込工事も完了していることも多いです。
つまり、家を建てる準備が既に出来ているという事なので、トラブルは少ないように思います。
しかし、さまざまな問題が隠れていることも多々あるのです。
ここからは自身や嫁の実家の土地に家を建てることについての隠れた問題点を紹介していきます。
一人っ子であれば問題はないのですが、自身や嫁の兄弟がいる場合、「親の土地に家を建てる」という兄弟の同意を取っておくことは重要です。
両親が建てていいよと言っても将来的に両親が亡くなっていくと、相続の対象が兄弟にも関わってきます。
親の土地に家を建てるということは、土地の名義はお父様の名義だったり、お母さんの名義だったりして、のちのち兄弟にもその土地は相続する権利があるわけです。
たとえ遺言書があったとしても不安になりますよね。
遺言書があったとしても遺留分という制度もあり、いくらかお金を払わなければいけないってこともありますので、ご両親が元気な時に兄弟に会っておいて話をつめておく方が将来的に安心です。
同意書をもらうまでは必要ないかもしれませんが、一度でも兄弟全員の了承をとっておくことを忘れないで下さい。
このように、土地を買わなくてよいので安く済ませてラッキーと思うかもしれませんが、いろいろな問題が抱えていることもあるのです。
不動産的なこととか、建築だけではなく、弁護士さんが出てくるような話もあるので、もともとある古い土地で家を建てる場合は、いろんなスペシャリストの先生たちに相談しておくことも重要かと思います。
水道管の引込工事が完了している場合でも、既に入っている水道管が古くて劣化している場合や水道管が細くて十分な水量が出せない場合があります。
そのような場合は、水道管を交換する必要があり、これにはお金がかかります。
また、水道管の引込工事が終わっていない土地、例えば実家の横に家を建てる場合は、新築する家の水道管の引込がされていないことがほとんどです。
そして、既存の倉庫を解体して新築する場合でも、もともとトイレやキッチンなどの設備がないことが多いので、水道管の引込がされていないことも多いでしょう。
そのような場合、水道管を引っ張ってくる方法として、実家の水道管から分岐して、新築する家につなぐっていう方法もありますが、両親の家と水道が共有になって、どちらかいくら使ったかということがわからなくなるんです。
敷地内に子メーターを付けて確認する方法もありますが、万が一その家を手放さなくてはいけない場合など将来的な変化に備えておくことも大事です。
それらを考えると、大きな工事費用がかかりますが、新たに前面の道路から水道管を引き込み、実家分と新築分とで水道管をそれぞれ分けておくほうをおススメします。
ただし、水道管の引込には注意点があります。
一筆の土地には一本しか水道管を引き込むことができないルールがあるということです。
一筆とは
登記上の土地の個数を表す単位。 独立した1個の土地を一筆の土地という。
つまり、一筆の土地であれば、二つの水道管は引き込めない。
そうすると同じ敷地内で2つの水道管を引き込むとなると土地の分筆が必要になってきます。
分筆とは
登記簿上の一つの土地を複数の土地に分けて登記をする手続きのことです。
土地は1筆、2筆と数えますが、土地を分けることは「筆」を分けることになるので分筆と言います。
分筆によるメリットは、先に記述した水道管を新たに引き込めるメリットの他に「抵当権」の関係があります。
例えば、住宅ローンを借りる場合、銀行にお世話になりますよね。
銀行でお金を借りる時は、一筆の土地に家を建てると、銀行は家と土地に抵当権という担保を設定するんです。
一筆の土地に「両親の家」と「新築する家」の両方の物件がある場合を考えると、抵当権を設定すると、今回新築する家だけでなく、両親の家にも抵当権がかかることになります。
つまり、住宅ローンが滞った場合、関係のない場所(両親の家)まで銀行に家と土地を売られる可能性があるということです。
これを避けるために、「両親の家の土地」と「新しい家の土地」を分ける(分筆する)必要があります。
それには境界を確定させるための手続きが必要で、分筆費用がかかるので注意です。
自身や嫁の実家の土地に家を建てることについて、その土地は境界に関する問題があるかもしれません。
土地の境界が明確でない場合、測量が必要であり、これにも費用がかかります。
特に住宅ローンを使って家を建てる場合、銀行は土地の所有権を確認したいため、正確な測量が必要です。
これについては、簡易測量や法務局への正式な測量申請など、ケースに応じて対処する必要があります。
さらに、お隣さんとの問題も発生することがあります。
新しい家を建てた後、お隣さんが自分の土地の所有権を主張する場合があります。
たとえば、オタクの塀が自分の土地にちょっとだけ出ていると主張され、塀を取り壊すよう求められることが考えられます。
そうならないためにも土地を測量し、境界をしっかり確定しておきましょう。
農家の親から土地をもらう場合、違法建築の問題が浮上することがあります。
既に立っている倉庫等の建物が、当時、役所を通すと、面倒くさいから建築の許可を得ずに勝手に建物を建てているケースです。
一昔前は近所の大工さんに建ててと頼めば、簡単に建ててもらえたことも多かったのです。
このようないい加減な状態で、違法のままずっと建物を使って、そのまま何十年にもなっていた場合、その敷地内で新たに家を建てたい場合を考えてみます。
同じ敷地内に違法な建物があった場合、行政も許可を下しませんから、「その違法な建物を壊してくれなきゃ許可をしませんよ」ってなります。
銀行も、違法建築なんかあったら、そもそもお金も貸してもらえません。
違法建築物を解体してから、家を建てなければならず、想定していなかった費用もかかります。
自身や嫁の実家の土地に家を建てる際、実家の横の土地が農地だった場合、家が建てられない問題がおこります。
例えば、両親が持て余している農地があり、利用しないのももったいないので、そこに新築をすすめられるケースです。
農地には「青地」と「白地」があり、基本的に家を建ててもよい土地は「白地」です。
「青地」は農地としてだけ認められた土地なので、その土地に新築したい場合は「青地」から「白地」に農地転用する必要があります。
ただし、農地転用をして家を建てる許可をもらうまで一年半から二年かかってしまうことが多いのです。
もともと農業をするための土地なので、まず県にお願いして審査をしてもらったあと、市役所の農業委員会を通していく。
色々な公的機関を通すので、「青地」から「白地」に変更できるケースは多いですが、とても長い時間がかかります。
住宅会社の営業マンとの打ち合わせで、子供が来年の春に小学校に入学するので、それまでに家を建てたいっていう話がありました。
数か月間にわたる打ち合わせが終わり、契約段階になってきてやっと建築確認申請を出そうとしたところ、その土地が家を建てられないという「青地」が判明したんです。
そうなると、そこから1年半ぐらいかかると小学校入学まで間に合わない。
最初に、住宅営業マンが調査すべきですが、契約段階で「青地」で家が建てられないことがわかったとなれば話になりません。
そのようなことを避けるために、あらかじめハウスメーカーでしっかり土地調査をしてもらうようにして下さい。
契約前にハウスメーカーを選んでいる段階でも、ハウスメーカー側で土地調査を実施してくれるケースは多いです。
土地調査を依頼したハウスメーカーで建てるかどうかは別としても、ハウスメーカーに相談したついでに調査してもらう手は有効です。
自身や嫁の実家の土地に家を建てる場合は、土地は買わずに済みますがが、水道管など給排水工事であったり、分筆費用がかかってくるので、そのためのお金をいくらか用意しないといけません。
農地に建てる場合は、農地転用にかかわる費用も考慮しなければなりませんし、土地の高低差がある場合、インフラ設備(ガス、電柱など)がない場合も費用がかかります。
また分筆費用や既存の建物があれば、解体費用も考慮する必要があるでしょう。
細かいことをいえば、今まで住んでいた両親の駐車場だけでなく、新しく入居する人の駐車場も確保しなければならないので、お庭を壊して駐車スペースをつくることになるかもしれません。
また、カーポートも設けるとなると、またその費用もかかってくる。
そういったことを見越して、土地を購入する費用の3割ぐらいは予算として見ておいた方が良いと思います。
土地の規模にもよりますが300万円から500万円ぐらいはあったほうが無難かもしれません。
土地に関しては専門的な知識が必要なこととから、事前にハウスメーカーに相談し、事前調査を実施することは非常に重要です。
特に、大手ハウスメーカーは専門知識を持っており、土地に関する問題を正確に評価できます。
自身や嫁の実家の土地に家を建てる際には、しっかりと計画し、潜在的な問題に対処することが成功の鍵となります。
家を建てる前に、十分な調査と計画を行いましょう。