ミサワホームの住宅には、蔵という収納庫が備えられています。
蔵は、季節家電や趣味の道具など、かさばる物を収納するのに便利な空間です。
しかし、蔵は「湿気が溜まりやすいのではないか?」
また「カビが発生しやすいのではないか?」という心配の声もあります。
そこで、今回はミサワホームの蔵はカビが発生しやすい構造になっているのかについて考えていきます。
また、万一のカビの発生を防ぐために、湿度管理や換気の工夫、カビ予防のアイテムなど、カビ対策のポイントを解説します。
ミサワホームは、建築基準法の「天井高140cm以下の空間は床面積(建ぺい率)に含まれない」という規定を逆手に取り、天井高140cm以下の大収納空間「蔵」を間取りに取り入れています。
この「蔵」は、都市部の狭小地などでも居住空間を最大限活用できるだけでなく、階層の間に挟むことで上下間の遮音性も向上させるというメリットがあります。
また、法規上は居室とは認められていないが、秘密基地のような感覚で、書斎や趣味部屋として利用する施主も多いのです。
「蔵」は、住まいの収納スペースや遮音性、そして自由度を高める新たな選択肢として、注目を集めています。
まず、カビが発生する条件は、下記の3つの条件を満たすことと言われています。
・湿度・・・湿度65%以上でカビが発生
80%以上になると高確率でカビが発生
・温度・・・カビの最適温度は25度前後
・栄養・・・ほこり、食べこぼし、皮脂汚れなどの有機物
つまり、一つでも条件を抑えることができれば、カビを防げるというわけです。
この条件で、日常生活の中ではカビの嫌う温度を一定に保ち続けるというのはむずかしいでしょう。
また、カビの栄養分となるほこりや皮脂汚れを蔵から取り除くためには、こまめな掃除は欠かせません。
温度や栄養の条件は、他のハウスメーカーでも同じで、ミサワホームだけの問題ではありません。
つまり、ハウスメーカーなど住宅会社で差が付くのは、湿度対策のみと言いかえることが出来ます。
そこで、ミサワホームは湿度対策がしっかり出来ていて、カビを発生させない環境が作れているのでしょうか。
ミサワホームの蔵は言うまでもなく壁、床構造に囲まれた空間です。
つまり、ミサワホームの構造自体でしっかり湿気対策ができているかを確認すことで、ひいては蔵はカビが生えやすいのかを判断する手掛かりになります。
そこで、ミサワホームの壁と床構造を見てみましょう。
まず、ミサワホームの壁構造は下記のとおり。
外気から来る湿気は、通気層や防湿フィルムなどを始めとする複数の層を持つ壁構造からしっかり対策できていると言えるでしょう。
しかし、湿気は、側面よりも地盤から上がってくる湿気のほうが強いため床構造がとくに重要と言えます。
カビが生える原因の多くは床から上がってくる湿気です。
1階と2階に収納庫があるけれど、カビが生えるのは1階の収納庫だけということはよくあることです。
床から上がってくる湿気をある程度防ぐことが出来れば、カビを防ぐことができると考えられていることから、床パネルの構造や床下の構造は注目すべき点なのです。
ミサワホームの床下の構造は、地盤から上がってくる湿気を防湿シートで防ぎ、防湿土間コンクリートでしっかり対策がされています。
さらに、基礎の水切から通気することで床下を乾燥させて湿気の流入を防いでいることが伺えます。
ミサワホームの床パネルを見ても、合板と断熱材、防湿フィルムで室内に湿気が流入するのを防ぐ対策がされています。
また、ミサワホームに使用されている構造である『両面接着パネル構法』には下記のような特徴があります。
パネル芯材は、工場で含水率15%以下に木材を乾燥させています。
木材が腐ったりカビが生えたりするには、含水率が25~30%程度に達する必要がありますが、15%以下に乾燥させた木材は水分を含みにくく、乾きやすいのです。
これらの特徴により、ミサワホームの木質系住宅は、カビや腐食のリスクを抑えることができています。
これらを見ても、ミサワホームの蔵はカビが生えにくい構造になっていると言えるでしょう。
積水ハウス シャーウッドの構造もしっかり通気層が設けられていて、湿気が入り込まないよう対策されています。
床下も土台スペーサーを設置して床下を換気し、防湿シート+土間コンクリートで土壌からの湿気を防いでいます。
住友林業も壁側面はきずれパネルによる通気層を確保し、防湿シートで外気からの湿気を防いでいます。
床下も通気層を設けて換気し、土壌からの湿気は防湿フィルムで対策されています。
セキスイハイムグランツーユーも外壁の内側に通気層を設けたり、防湿石膏ボードを設置して湿気の流入を防いでいます。
また、分厚い断熱材で外気と室内の温度差を小さくして、カビの原因となる結露を生じさせないよう工夫しています。
床下も他のハウスメーカーと同様、断熱材はもちろん、べた基礎の防湿コンクリートと防湿シートで土壌からの湿気を防いでいます。
三井ホームは防水性に優れた壁用下張材である「VFフェルト」と室内側の湿った空気を壁内に入るのを防ぎ、壁内の結露を防止する防湿気密シート「ベーパーバリア」を配置しています。
壁内にカビが発生すると、室内にもカビが発生する原因にもなるため、壁内結露の対策が十分必要なのです。
三井ホームの床下からの湿気対策としては、床下全面をおおう全面コンクリートと防湿シートで地盤からの湿気を防いでいます。
床下からの湿気対策が不十分であると、室内の収納庫にカビの発生を許してしまいます。
一条工務店も通気胴縁で壁内に通気層を設けて壁内を乾燥させています。
防水シートも設置し壁内結露対策も十分です。
特にウレタンフォームは防水性が非常に高いのも利点です。
他のハウスメーカーで一般的に使われているグラスウールなどの綿状の断熱材に比べて、結露が起こりにくくカビが生えにくいのも特徴です。
床下も基礎スペーサーで床下換気も十分に行われています。
また、土間コンクリートと防湿シートで、土壌から上がってくる湿気も対策されています。
以上、他のハウスメーカーの構造を確認してきましたが、ミサワホームと大差がない湿気対策がされていることが分かります。
ミサワホームの蔵だからカビが生えるというわけではなく、水分を含みやすい土壌や近隣の環境条件による影響が大きいと言えます。
ミサワホームの蔵だから特別、カビが生えるわけではないと確認してきましたが、カビを生やさないための対策は必要です。
そこで、カビの発生の対策とポイントを下記にまとめました。
カビは、湿度が60%以上になると繁殖しやすくなります。
そのため、蔵の湿度を60%以下に抑えることが重要です。
湿度を抑えるには、換気扇の設置や、換気用の窓を開けるなどの方法があります。
また、除湿機やエアコンを活用するのも効果的です。
蔵は、外気が遮断されているため、換気が十分に行われていない可能性があります。
そのため、こまめに換気をして、湿気を溜めないようにしましょう。
換気のタイミングは、特に雨上がりや洗濯後など、湿度が高くなるタイミングがおすすめです。
また、換気扇は、24時間つけっぱなしにしておくと、より効果的です。
カビ予防アイテムを活用するのも、効果的な対策方法です。
具体的には、以下のようなアイテムがあります。
・除湿剤
・カビ取り剤
・カビ予防シート
除湿剤は、湿度を下げてカビの繁殖を抑えます。
カビ取り剤は、発生したカビを除去するのに役立ちます。
カビ予防シートは、カビの繁殖を防ぐ効果があります。
蔵に物を収納する際は、湿気が溜まりやすいものを避けることも大切です。
具体的には、以下のようなものは避けましょう。
・濡れたままの物
・腐りやすい食べ物
・汚れたままの物
また、物を収納する際には、すのこやネットなどを活用して、通気性を良くするのもおすすめです。
ミサワホームの蔵のカビ対策には、湿度管理や換気の工夫、カビ予防アイテムの活用など、さまざまな方法があります。
これらの対策を組み合わせて行うことで、カビの発生を効果的に防ぐことができます。
ぜひ、参考にしてみてください。